平和の声に、耳をすませて

人は誰も他の人のために何かをしてあげたら、気分がいい。自分はいい人でいたい。悪い人にはなりたくない。これはたとえどんな罪人でもそうだ。やった行為は悪いことだが、誰かが自分にそうさせたと言う。自分はいい人でいたい。

障害者は多かれ少なかれ、誰かに助けてもらう。いや、健常者も一人では生きていけないのだから同じなのだけど、助けを求める頻度は違う。私はほとんど何もできないけれど、外出はいつも一人だ。電車に乗るのも何かを買うのも一人ではできない。あらゆることを頼む。「ありがとう」を言う。私はみんなにいい気分を振りまいているんだと思っている。突き詰めると、これが障害者の存在意義だと思う。

戦争になると、誰も余裕がなくなる。他人のことを思うゆとりがなくなり、自分が生きるのに一杯になる。これは災害時も同じなのだが。

国のために何もできない障害者は、周りのみんなにほんの少しの幸せを与えるだけの障害者は、戦争で生を失う。戦争で死ぬ。