子は鎹

久しぶりに師匠の「子は鎹」を聴かせていただいた。やはり進化していた。登場人物の心情がリアルに出るように、部分部分で言葉を替えたりしてはった。師匠の進化はとどまることを知らない。

昨日の会は文紅師匠が世話役をしてはった会。亡くならはってからは鶴瓶師匠と三喬さんが後を引き継いだ。この会で一度「子は鎹」をしたかったとおっしゃる。

「子は鎹」は文紅師匠に稽古を付けてもらったそうだ。とはいえ、文紅師匠は「子は鎹」は持ち根多ではない。けれど、鶴瓶師匠は文紅師匠の稽古を望んだ。そして、文紅師匠は快く承諾した。これって凄いと思う。新しい視点から新しい「子は鎹」を作りたかったんかなぁと思う。

文紅師匠は熱心に熱心にいい所悪い所をチェックしてくれたそうで、ある冬の日、鶴瓶師匠の高座を舞台袖からチェックしてはった文紅師匠が、鶴瓶師匠にOKサインを出しはった。そのときのことは忘れられないとおっしゃる。

文紅師匠、鶴瓶師匠の「子は鎹」は、さらに進化しましたよ。

今日は「いつかの会」だ。染丸師匠との競演。この会があると知ったときから、わたいはずっと願っていた。「子は鎹」の競演を。両師匠の、父母逆バージョンの聞き比べ。考えただけでぞくぞくする。

昨日「子は鎹」をやらはったことで、もしや今日もひょっとして、と淡い期待を抱く。もし、この聞き比べができたら、やってくれはったということだけで、もう泣いてるやろな。