時節外れの敬労の日

先週某日のこと。梅田から難波まで地下鉄に乗る。横のおばあちゃん、そうとうな喋りだ。乗ってすぐに話し掛けてくる。「便利な物(電動車椅子)ができて、一人でどこでも行けてええねぇ」とか、初めはありきたりなことを言うてはったが、これだけだったら、ときどき言う人もいる。このおばあちゃんはここから延々とマシンガントークになる。
「いつも一人で出歩いてるの?」(友達おらんのや)「誰と暮らしてるの?」(身辺調査か)「どないして食べてるの?(金銭面)」(ほっといて)質問攻めだ。なお、()内は心の声です。全部にこやかに応答。師匠譲りです。「そやけど、明るいねぇ。笑顔がいいわ」 どや! 「今日は買い物?」 買い物ちゃうけど、ややこしいからニッコリ「はい」
年は84歳だ。いや、自己申告してた。元気だ。元気過ぎる・・・。「こないして人と喋ることあるの?」「え、いや、まぁ」「こないしてゆっくり聞いてくれる人、なかなかおらへんからねぇ。私なんか、もうおばあちゃんやから(十分わかってます)なんぼでも時間があるから、ゆっくり聞いてあげれるけどねぇ」???聞いてあげてるのん、こっちでは?
そこから自分の身内の話になる。下の娘は学生時代は勉強がよくできていたが、今は生活に窮々としているらしい。上の娘はその逆で、若いときはアホだったが、今は裕福に暮らしているようだ。人生、どう転がるかわからんと、含蓄のある言葉が聞けた。
難波に着いた。「あのー」延々と身内の話を喋り続ける。言葉を挟む暇もなく。「そのー」ドアが開いて簡易スロープが置かれる。おばあちゃんが我に返ったのは、わたいが困惑の表情で電車を降りたあとだった。