ごく私的そっくりさん騒動

先週某日、梅田へ出るため、いつものように最寄り駅へ。ここは駅員さん、一人しかいない。ちょっと待ってくれと言う。もうすぐ下りに車椅子の客が着くから、簡易スロープ持って迎えに行かなあかんとのこと。こういうこと、たま〜〜〜にあります。
改札階で待っていると、下り電車到着。乗客ゾロゾロと上がってきて、程なくエレベーターから先約車椅子客が。
「あっ!」と心の中で叫ぶ。一度も会ったことがない人だが、おそらくよく知っている人だ。
もう何年も前から、わたいによく似た人がいてるという噂は聞いていた。ある友人など、数十メートルのところから見て、完璧にわたいだと思い込んで近づいていき、目と鼻の先まで接近し、危うく声をかけそうになったのを必死で飲み込み「ルールルールルー」とスキャットを口ずさみながら横を通り過ぎたことがあるらしい。似ているという証言者は他にも。どんなんか一回見てみたかったのだ。
絶対この人だわ。年の頃もだいたいいっしょ。顔はわたいよりおっさんだが、たぶんわたいよりちょい下か。口ひげがある。わたいも前は生やしとったしね。ひげを剃ると二つ、三つ若くなる。痩身ね。車椅子の操縦桿を足で操る。違うのは、操縦桿がわたいは右で、この人は左に付いてるところ。かもし出すムードがきっちりわたい。
「あなた、わたいのそっくりさん。わたい、あなたのそっくりさん。インド人もビックリ!」と声をかける度胸などあるわけもなく、入れ替わりで、今度はわたいが上りのホームへ。
今日の駅員さんは会話好きのニイチャンだ。こういう人はわたいの言うことも聞こうとする姿勢を取ってくれるので、スムースに会話が進む。
「今の人、一回も会うたことないねんけど、昔からわたいによく似た人がおるという噂を聞いとって、たぶんあの人がその人やわ」
「向こうもそう思とんちゃう?」
「名前も聞いたことあるねんけど、なんやったかなぁ」
「自分は?」
何で人の名前を聞くのかと思ったが、別に隠すこともないから「わたい、たにっち(いちおう戸籍上の名前を言ったが)」
「あの人、○○○」
「あっ、そうそう、その名前、その名前」
って、えっ??? 何であんた、あの人の名前知ってんの? 人の名前聞くのん趣味?
えー、古今東西、いろんな趣味のお方がいるもんでございますが、こういう人の名前を尋ねて覚えるのが趣味という変わったお方もいるもんです。変わった趣味のお方もいれば、そのお方泣かせの変わった名前のお方もございますようで・・・
(ここから「寿限無」全部書く?)