百物語

日曜、白石加代子さんの「百物語」に行ってきた。怪談話の朗読会だ。立ち上がったり、舞台を歩き回ったり、身振り手振りを交えて怪談を演じはる。とにかく、鬼気迫る迫力。
「百物語」へはこれが2回目。前は西宮芸術文化センター中ホールだったが、ここは車椅子だと一番後ろ。高低差もだいぶあって、かなり見下ろす感じになる。舞台がそうとう遠く感じるホールで、迫力が全然伝わってこなかった。今回は京都芸術文化会館。ここも一番後ろなんだけど、こじんまりとしたホールなので、舞台とそんなに距離を感じない。割に快適に鑑賞できる。
今回の演目は「牡丹燈篭」。http://d.hatena.ne.jp/tanich/20080409 にも書いたように、これは仇討ちの話。わたいはこの日、初めて怪談の部分以外にも触れることができた。
白石さんが客席の空気をあまり重くなり過ぎないように、全体的にコミカルに演じてくれた。それでも、白石さんを包み込む妖気は十分、最後列まで迫ってくる。
怪談噺を聴いていて、いつも思うことをこの日も感じた。怪談は幽霊が出てくるから怖いのではないのだよ。人間の情欲を描いているから怖い。金銭欲、色欲、出世欲・・・、こういったものをさらけ出すから怨みが生まれる。「あー怖っ」なのである。
ところが、この日、もう一つ怖いことがあったのさ。公演の最中、袖で大きな物音が。何か落ちたんかなと思てたら、終演後のカーテンコールで白石さんが塩を持って現れ「いつもはこんなことはしないんですが、今日はいてるようなので」と、舞台で塩をまきはったのよ。すると、さっきのはラップ音? にこやかに塩をまいてはった。妖気も怖いが、陽気に、というのもかえって怖いものがある。