崖の上のホニョニョ

日月火と3日続けて昼間の落語会。お日さんが頭上の外出はとんでもなく暑いのぉ。日曜と昨日は初めての寄席。

昨日の会場は、車椅子ではちょっと・・・の形状。大きくはないんだけど、一番後ろ。距離感があるというほどでもないけど、客席の雛段の傾斜が急だからかなり見下ろす感じ。見台を上から見下ろすという、いつもと違う角度からの寄席見物は新鮮ではあるが。「東の旅発端」での小拍子と張り扇の使いようがよくわかった。でも、いつもこの角度からはご免被りたい。

崖の上です。けれど、わたいは魚の子ではない。魚の目もできてない。

このお客さん、どういうんだろうか。こんなん初めてだ。静まり返っている。開演しても静まり返っている。上から俯瞰していて、ちょっと異様だ。笑いに来たんちゃうんかな。葬れん?

別に落語通が集まっている風でもないんだけどな。落語通が多くいると、喋ること全部わかっているので、そんじょそこらの普通のことをしていても笑わないということはあるんだけど、これは違うな。

二つ目のSさんが漫画チックな「時うどん」をしても笑わん。中に女の子がいて、その子の笑い声だけが聞こえる。こんなとき、子供は神様やね。

わたい? わたいは笑ろてたよ。冷え冷えとした空気に、雲の上から苦笑い。噺家さんにとっては災難を笑ろてはいかんのやが。天空の城ラピュタに免じて許いてくだされ。(語尾、意味もなく狂言調)

Sさん演じる外れ屋のおっさんは、風邪をひいているのか、コホコホ咳き込みながらうどんを作るという演出。ここで、凄い間で客席から「ゴホン」と咳払いが一つ。もう、天上界約1名、大受け。あっ、Sさん、ごめんなさい。風邪の谷のナウシカに免じて許いてくだされ。

中トリのBさんが枕で小咄を。あったまらない客席に探りを入れてはるのか。

「隣りの家に囲いができたな」「へー」で、今日一番の爆笑。

えっえーーーーー!

「お母ちゃん、パンツ破れた」「またか」で、またまた爆笑。

い、今までの苦労は・・・・・

その後、事件が起こった。Bさんが根多に入ってしばらくして、前から2列目の右の方のお客が立ち上がった。途中で退席は、まぁ珍しくない。後方へ行ってくれたら、まだよかったんだけど・・・、その人、舞台上を、今、落語をやってる真っ最中の高座の前を横切った! わたい、思わず声が。「ほにょにょ!」

といっても状況がよくわからないと思うので補足。この会場、2列目の床面と舞台の床面の高さが同じで、両サイドでつながってるねん。だから、客席1列目は壕のようにちょっと潜ったような、オーケストラピットのようなといおうか、そういう作りになってる。前方のサイドの客が前の通路を通って逆サイドに行こうとしたら、舞台上を通ることになる。だから、この会場は、前に通路はないといっていいのだ。

それを、高座の前を横切った。この人は舞台の上を歩いている感覚はなかったんかもしれないが、でも、事実は事実だ。

当然、噺は中断。Bさん「私の作った噺の世界はどうなるんだー」と、笑いを取りながらぼやいてはった。そんなん、まともに怒られへんしね。

今後、舞台の両サイド、客席から入られへんようにロープかなんか張っとかなあかんな。

この日は夏休みということで、客みんなにお土産が。落語の手引きの冊子と、アミューズメントパークの招待券、団扇(この頃、プラッチックの骨のんが多いが、これは竹製。昔なら当たり前のことがなんか新鮮に感じられる)、それに先着50名に杜仲茶1本(50人入ってなかったから、もれなく状態)。これだけサービスしてもろてるんやからさぁ、お客さん、みんな、もっと噺家さんに協力的でいましょうよ。

わたいは物に弱い?・・・否定しません。

みんな、中元くで。