夏の功罪かおり

物事には万事、いい面と悪い面がある。これは、おわかりだとは思うが、当たり屋のうどんは腰があって、外れ屋は「フニャフニャやー」と、そういう麺を言っているのではない。

わたいは冬より夏の方が好きなのである。とにかく、体感的に寒いのが嫌いということはある。これには理屈がない。しいていえば、まぁ、やせているからということはあるか。

それと、冬は戸外と室内で上着を着たり脱いだりしなくてはならない。あれが困る。自分で着脱ができないからだ。外出時、あまり寒そうな格好でいると、実際寒いし、人の見場も悪い。とはいえ、厚着をすると、暖房している室内では減量中のボクサーになる。それでやむを得ず、着脱しなくてもまぁいいような、上着のような上着でないようなという中途半端な服装で外出することになる。やはり、北風は寒い。

その点、夏はTシャツ1枚で過ごせるからいい。冷房の強い部屋でも北風ピープーみたいなことはない。

ところが、夏に難儀することもある。家にいたら、おパンツをはいたり脱いだりは自分でできる。トイレ時に。それ以外におパンツを脱ぐということがあるか!フン!(何を一人で憤慨しているのか?) これが夏は苦労するのである。

「汗ばむわー。カモ−ン」である。いや、この場合「カモーン」は関係ない。汗ばむのだ。肌が汗ばんでいるとギシギシとして、おパンツの着脱時、滑りが悪くなる。脱ぐのは、地べたに座り、かかとでおパンツのお股のへりを踏んで後ずさりするのだが、なかなかスムースに事が運ばない。時間がかかる。フーフー言う。そうとうな労力の消費だ。

今度はくときが、よりいっそう難関だ。以前、ナイトスクープに手を使わずにパンツをはく人が出ていたが、基本的には同じ要領だ。あの人は立っていたが、わたいは寝て、ただひたすらにバタバタとほたえまくる。悶絶しているゴキブリか? 手も全然使わないことはない。なぜか右手の指先だけは自由が利くので、おパンツの一端を指に引っ掛けて引っぱり上げる。引っぱり上げるのだが、一ヶ所しか引っ張れない。あとは滑りだけが頼りなのだ。これが滑らんのだから、いかんともしがたい。尋常ではない時間、10分、20分かかって、それでやっと、わたいはローライズの若者となる。これが限界だ。何事も限りがあるから美しい。

いっぺん見物に来る?

そやけど、何でこんなことまで世間に吐露せなあかんのか? ミステリアス・ミッドサマーだ。