わたいも障害者だし忌憚なく書きます

以前、教育テレビの福祉関係の番組で、こんな話題が上っていた。車椅子の男性、呼吸器をずっと付けている人が、クラシックが好きでコンサートに行った。呼吸器というのは機械だから当然、音がする。近辺の客からクレームが出て、その人は途中で会場から出された。これってどう?という内容だ。

番組では出席者からいろいろ意見が出た。ボランティアをやっている人は周りの客が我慢すべきだと言う。ケータイの音なんかと違って、呼吸器はそれがなかったら命に係わる大事な物。それにつべこべ言うのは酷だと言う。でもね、周りの客も高い入場料払って聴きにきているんだよ。コンサートの間2時間ほど悪環境を我慢して、ニッコリ笑って気持ちよく帰られるか、という意見。

これは難しい問題だ。その人は行こうと思えば行ける。ただ、ちょっとだけ音がする。音はちょっとだけど、他人に対する迷惑はちょっとではない。コンサートを聴く権利はその人にもあるし、周りの客にもあるんだよね。

で、わたいが思うに、その人は、権利を主張、要求はすればいい。ホール側に、外の音は聞こえるが中の音は聞こえないように仕切ったスペース、小部屋のような一角を作ってくれと。外国にはそういうスペースがあるホールもあるようだし。存続危うしの天満橋のドーンセンターのホールにはそれに似た一角があったなぁ。あれは乳幼児連れの親子のためだろうけど。

そういう主張はどんどんすればいいが、そんな設備ができるまでは行くのを控えた方がええんちゃうのん。まっ、いろんな考えはあると思うけどね。迷惑の度合い、程度だと思う。

わたいも他人に迷惑をかける。進んでかけるという面もある。外出時、迷惑をかけんとこうと思えばガイドヘルパーを付ければいいが、わたいはそれをしない。他人がヘルパーにばかり喋りかけ、言語障害があるわたいは直接、人と触れ合えないというのが大きな理由だが、そのお陰で人に迷惑をかける。迷惑だがちょっとした迷惑だ。買い物のとき、棚の上の物を取ってくれだとか、建物に入るとき、一段の段差を上げてくれだとか、雨のとき、レインポンチョを着せてくれだとか。厳密にいえば、しなくていいことをしてもらうんだから迷惑をかけているんだけど、この迷惑が迷惑じゃないとわたいは思っている。

というようなことを去年かいつか日記に書いたように思うが、その頃はmixi内日記に書いてない頃だったし、アドレス貼って「ここを見よ」なんか書いたら、また、誰かさんに「じゃんくさい」と言われるのでもう一度書く。男はつらい。

話を戻し、こういうちょっとした迷惑はいわば一瞬のことだし、それほど無茶苦茶な労力はいらんでしょ。誰かのために何かしてあげて嫌な気分になる人はまぁいないと。わたいが何かを頼むことでその人がいい気分になるんだから、これはいいことをしているんだとわたいは思う。お互いがそれで幸せになるんやったら、それでええやない。池田に猪肉を買いに行くのに、産婆さん呼びに走ってる人に道順聞いたらあかんけど。

このコンサートの場合はね、迷惑をかけられて、それでいい気分になる人はいないでしょ。高い金を出していい音楽を聴きに行ったのにその妨害をされたら、家で屁ぇこいて寝とった方がましと、これは誰でも思うよ。だから、迷惑の度合いの問題なんよ。

このコンサートの人は自分が行きたかったんだけど、この場合よりももっとええ加減にせえよと言いたい状況に遭遇した。

いつものように寄席通い。その会場は車椅子席が一番後ろ。わたいは当然そこにおとなしくおっちん。もう一人車椅子客がいた。男性本人と父親と姉か妹の3人連れ。関係を聞いたわけではないけど、たぶん。初老の父親が本人を抱いて自分らの席へえっさかほいさか。車椅子は車椅子席に置いて。いやまぁ、そういうことはよくあります。着いた席は最前列。一番後ろと一番前だから、行けるんだったら前に行くわな。

さいな、そこからがもう大変なんですから、奥さん。(わたいは何もんやねん) はっきり言うてうるさい。落語やってるのに唸る。かなり唸る。けっこう大きい声だ。会場内、どこにいても聞こえるんだから。本人が落語に行きたいと言って来たんでは絶対ない。聞いたわけではないけど、これはたぶんではなく絶対。親がこの子(ちゅうても大人)にも落語を聞かせたいと思って連れてきたんだろう。もう、あれでは舞台上も客席もみんな集中できん。

おまけに、時おり座席からずり下がるんやろね。父親が立ち上がって子を引き上げる。それが10分おきにはあったね。周りの客、たまったもんやないぞ。
その引き上げるという行為が、かなりの距離のわたいがわかるんやから、よっぽどわたいの気がそっちに行ってたということで、そのくらい唸り声がうるさいかったのである。えっ、お前はいっつも集中力欠如やて。言わんといて。

「ええ加減、もう出えや」と思い続けて中入り休憩。父親、えっさかほいさか、また車椅子に。とにかく、もう帰ってくれと願う。おっさん、もう気がすんだやろ。本人、見たいとも何とも言うてないんや。おっさんの気ぃだけの問題。

が、帰らんねぇ。しぶとい。実にしぶとい。ロビーをうろうろしてまた戻ってきた。これねぇ、本人が退屈してるて、おっさんもわかっとんでしょ。わかっとうからうろうろしたんでしょ。ほんでなぜ戻る?理解できん。

今度は前に行かんと車椅子のままおるかと思ったら、それは甘かったねぇ。また、えっさかほいさか前へ。このおっさん、唸り声も自分が立ち上がる行為も他人の迷惑になると思ってないようだ。唸り声はどこにいても同じだろうけど、せめて立ち上がる行為だけは回避できたはずなのに。嘆かわしいね。

そんなに自分の子供に落語を聞かせたい、寄席の空気を味あわせたいと言うんなら、自分で若手の噺家呼んで会を開いたらええねん。家でもいいし、それやったら感じ出えへん言うんなら、公共施設の部屋借りて。若手噺家さんやったらそんなに費用かからんでしょ。一人でせんと何人かで費用出し合うてもええし。迷惑と思てないから、そんなこと思いもつかんのやろけど。

イベントスタッフで顔なじみの方に開演前、ちょっとお話を伺ったんだけど、この日の出演者さん、この日の演目はネタおろしのようなもので、そうとうな猛稽古をして当然、気合が入ってたそうだ。

それを・・・おっさん・・・どうしてくれんねん・・・