風呂敷

土曜、落語と錦影絵の会に行ったついでに京都の風呂敷屋に行った。プレゼント用風呂敷買いに。

ここ、三代続いている風呂敷屋さん。というか、主に風呂敷を扱っているが、だいたいは染物屋らしい。四条堀川の辺りには昔、染物屋が軒を連ねていたようだ。堀川で染物をすすぐのね。今は堀川も地下に潜ったし、染物屋も少なくなった。この店は四条堀川の「染め」の伝統を受け継ぐ、頼もしき一軒。

店構えは小さいんだけど、鰻の寝床のような感じなのかな、店舗の奥には工房があって、デザインや染めを。製作から販売まで一手にやっている。

伝統を受け継ぐといっても、昔のままに、それだけをやっていたのでは現代に取り残される。伝統芸の落語や狂言もそうだけど、この店も今を生きるための創意工夫を重ねている。

受注生産の正絹風呂敷は、やはり需要も多くはないので、木綿風呂敷も店頭に置いてある。このデザインがモダンなのよ。言葉では説明しにくいが、和柄にポップ感を取り入れたっちゅうかね。

なんでこんな店をわたいが知っているかというと、テレビで見たから。俵越山先生の書と掛札、あっ、この店の名前やねんけどね、掛札の風呂敷がコラボしたらという企画をやっていた。へぇ、オシャレな店やなぁと思い、ネットでチェック。

店に入ると、越山先生とのコラボ風呂敷があった。「ほよよ、これか」とものほしそうな顔で眺めていたら、接客セールス担当、掛札ママさんが売り込み開始。ここは、染め担当がパパさん、デザイン担当が息子さんと家族でやっている店だ。この息子さんがメチャクチャイケメン。

話は戻り、セールスうまいわぁ。このコラボ風呂敷買うたら大黒様がやって来はるそうで、ご利益絶大。限定100枚。「ここで買うとかな、もう買うときないよ」の世界だ。だいたい、わたいは「限定」という言葉に弱い。昔からだ。ジャズのレコードで「限定盤」となれば、わけのわからん使命感に燃えて買っていた。

でも、まぁ、ここは気をしっかり持って「それはこっちに置いといて」と、本来の用件、プレゼントを買いに来たことを告げる。これこれこういう方に贈ると言って、そういうのに合うようなのをピックアップしてもらって、その中から選ぶ。

さてさて、コラボ風呂敷だ。どうすんのよねー。欲しいのよ。欲しいねんけど、わたい、風呂敷買うても使わへんし。

悩み込んでたら「ちょっとの間、置いといたげるわ」と。くぅーーー。悪魔のささやきだ。越山先生ファンと知ってのろうぜきか? いやまぁ、知っとうわな。先に「ファンや」言うとうし。

で、取り置きしてもらってま〜〜〜す。2、3週間、こっちが連絡しなかったら取り置き解除になるだろうけど。でもね、この週末、烏丸で越山先生のイベントがあるのよ。行こうかなぁと思ってるから。ふふふ・・・

限定100枚だから、買っても使わへん人、わたいだけちゃうやろし。壁に飾っとこか。

因みに、この店の風呂敷を中村勘三郎さんが襲名のとき、内祝いの引き出物にしたとか。また、ミック・ジャガーが突然飛び込んできて風呂敷買っていったとか。

細い道を入ったとこにある店だし、表からオープンで陳列された商品が見えず、戸を開けて店内に入る店構え。知らずにフラッと入るような店ではないので、車椅子の客はまず、いないだろう。わたいはミック・ジャガー以来の珍客か? 世界のビッグスターといっしょにしてどうすんねん。