Spring come here

家の前の歩道は石畳になっている。敷き詰められた石の境い目からところどころ雑草が生えている。その雑草の花が好きなんやわ。高さ数センチで、花が2、3ミリ。黄色い花びらが5、6枚。無茶苦茶可愛いのだ。この草、どういうの?

能楽堂に着く。演目の中に「土筆」がある。野原に遊山に出かけた二人の男。土筆を摘んだり、芍薬の花を見つけたり。うららかな情景がホンマに目の前にある。のどかだけど、最後は二人、いさかいがあって、相撲を取って決着。狂言らしく、バタバタと。

そういや、開演直前、O先生の奥方、K先生がバタバタと、いや、スタスタと客席通路を駆けてはった。座席わからんかったのね。

わからんといえば、お客の誰かがバッグに付けていた、くまのプーさんのマスコット。フェルト製だけど、青い板状の物に張りつけられている。布団に寝ているようでもない。戸板返しか? 沼に戸板が浮かんでいて、戸板がひっくり返ったらプーさんのオバケが張りつけられているのか? 恐いんだか恐くないんだか。

これは気味が悪いといおうか、違和感大有りなんが、和服のおばさんの顔にマスク。マスクをしている人を往来でよく見かけるようになって何年になるか。初めのうちは一瞬ドキッとしていたが、さすがにもう慣れた。でも和服はねぇ、これは見た目、おかしいと思う。和柄のマスクしてください。

で「狸腹鼓」。「釣狐」は有名だが、これは珍しい。茂山家しかしない曲。あらすじはほぼいっしょなんだけど。狐は牡なんだけど、狸の場合は牝。

時間は半時間以上かな。狸の着ぐるみを着て飛び跳ねる。着ぐるみといっても、普通の着ぐるみではない。狸だから痩せていては格好がつかない。でっぷりと太った大狸。着ぐるみの中に何が入っているのかは知らないが、表面が毛皮の分厚い布団を着ているような感じか。

飛び跳ねて、もちろん科白も。科白といっても狂言の科白は普通の発声ではない。強烈によく通る大きな声。体力勝負といっても、これは生半可なものではないわさ。裏に酸素の缶、5本用意していたらしい。

最後、腹鼓を打つ場面は、さすが牝狸だけあって、しなを作って、仕草が色っぽい。息が上がってるだろうに、それを微塵も感じさせない余裕の動き。千三郎さん、最高!

帰り道、難波宮跡公園が騒がしい。道草で立ち寄る。みんなコスプレしてはる。コスプレコミュニティの集会なんでしょね。いろいろいてた。キャラの名前、よう知らんけど。ピッコロはわかる。ピカチュウもおったか。20世紀少年の、てるてる坊主の顔に「罪」と書いたようなんとか。その他いっぱいいっぱい。銀さんもいた。これが先週、落語会で体感チューニングっちゅう健康体操のエクササイズをした、えだすずめさんだったら笑い転げたんだが、さすがに別人だった。

リーダーらしき人の指図に従って、みんなでダンスしてた。平和な情景だ。

帰りの電車が、甲子園に神巨戦のナイター観戦に行く客といっしょになった。その中の一人、タイガースのナップサックを持ってるのやが、なぜか着てるパーカーがオレンジ色?

空気を読みなさい。この人、友達できひんと思う。