道に落ちてる軍手のように

道路に、それも大きな国道なんかによく軍手が落ちてるでしょ。片方だけの軍手。「なんでこんなところに軍手が落ちてんの?」って、100人いれば99人は一度は疑問に思ったと思います。オイラもずっとその疑問が心の隅にしこりとなって残っておりました。

何年か前、テレビでこの話題をやっていて、オイラの積年のハテナマークは解消されました。皆さんももう知ってはるかもしれませんが「わっから〜ん」と言わはる方のため、答を書きますと。

大型トラックなどの給油口が汚れないように、そこに軍手をかぶせるんですって。トラックが走行しているうちにその軍手が落ちることがあるというのが真相でした。

な〜るほどっ! 軍手は給油口汚れ防止帽子だったんだぁ。・・・・・シラッ!(そやから、これ書くんイヤや言うたやろ)

このように、外、歩いてたら、いろいろ訳がわからんもん落ちてることがあります。

以前、家の近所を歩いてたら、50センチはある魚が一匹落ちてました。たぶんボラだと思います。住宅街の歩道に丸ごと一匹です!?

まっ、このハテナはあとでよく考えれば、容易に推測できることでした。場所が神戸でしょ。住宅街といっても海、割に近いんですね。どこぞのトリさんがボラくわえて飛んでて、あくびでもしたんでしょうね。それでポトッと・・・。名推理!さすが、ぐんじょう色の脳細胞! って、こんなん神戸に住んでたら、だいたいわかりますね。でもね、やっぱりそんな魚が落ちてたら、一瞬ギョッと・・・。・・・・・シラッ!(そやから何回もこんなしょーもないん書くんイヤや言うたんや)

しかしまぁ、今になって思えば、落し物をしてしまったトリさんや大型トラックさんの悔しい気持ちがよくわかります。

皆さんはポイントカード集めてます? オイラ、好きなんですよね。ちょっとだけおトクという話にはけっこう乗ります。ごっついおトクという危なっかしい話には乗りません。オイラは用心深くせっこ〜いケチです。

映画館、ケーキ屋さん(ここ、コジャレた店で味もイケルのに1個250円から350円と安い!)、デパ地下の和食惣菜屋さん(所帯じみてる?)・・・といろいろあるポイントカードの中の1枚の期限が迫っていることに先日、気が付きました。CD屋さんのカードです。

ここ、年間5万円買ったら3千円分の商品くれます。が、火曜日に買ったら、ポイント倍、押してくれるんです。だから、ずっと火曜に買ってたら、2万5千円で3千円分くれます。当然、オイラは火曜にしか行きません。ねっ、せこいでしょ。

そんなことはどうでもいい。とにかく、もうちょっとでカードいっぱいになるんです。期限内の火曜日、もう一日しかありません。うっかりしてたら、カードがパーになるところでしたぁ。

で、火曜日行きましたです。いそいそ、いそいそ。

ここの陳列棚、他の店に比べて低めになってて、車椅子からでもCDを手に(足にか)取りやすいんですね。上の段は届きませんが、でも、届くところと届かないところが半々くらいですか。9割方届かないという店もありますから、この店はそうとう快適な方です。

もちろん、届かないところのは、近くにいるお客さんか店員さんに頼みます。このCDを買おうと決めている場合だったら、それでもいいんですが、これはどんな曲が入ってるんかなぁとか、サイドメンは誰かなぁとかを(主にジャズを買うんで)思案しながら買うときは、やはり自分で手に取れた方がスムースに事が運びます。見ては戻し、見ては戻し、できますからね。

届く位置にあるCDも取れないのが冬の間です。靴下はいてるんでね。車椅子を操作しなくちゃいけないから、五本指の靴下はいてますが、それでも滑って取れません。夏はその点、楽チンで取れます。裸足ですから。

微妙なのが5月や、9月後半から10月の頭。靴下はいてるんですが、別段寒くもないので、便利が悪かったら「まぁ、ええわ」と途中で脱いじゃうんですね。

それで、この日もやはり脱いじゃいましたね。曲目、サイドメンの他にもう一つ、値段を確認しなくちゃならなかったですから。カードいっぱいにしなくちゃ、この日の本懐が遂げられませぬぅ。

熟考を重ね、めぼしいCDを見つけて、カード満杯ゴールイン! 意気揚揚と引き上げましたのでございまするぅ。

家に帰って、ガーン!事件発覚。靴下片方しかありません。脱いだ靴下、座席のオイラが座っている脇に置いてたんですが、どっかで落としてきたようです。今日の靴下、さらのんでした。ツライ! 片方だけ残っててもねぇ、仕方ないですわぁ。

どこに落としたんかなぁ。CD屋かなぁ。往来でもそうだけど、CD屋だったらなおのこと、見つけた人、メチャ首ひねるやろなぁ。CD屋に五本指の靴下が落ちてんねやもん。

せこいケチのオイラはさらの靴下を落としたショック隠し切れず、やけワインあおって不貞寝。数時間して目覚め、買ってきたCDを見て、ガーン!2件目の事件発覚。間違って買ってるぅ!

オイラは「Bill Evans Paris Concert edition one」を買ったつもりだったのに、手元にあるのは「edition two」だぁ! 「two」はもう持ってんねん!

上に、見ては戻し、見ては戻しして曲目とかを確認すると書きましたけど、実はそれもちょっとキツくなってきてるんですわ。ろーがんですわ、ろーがん。あぁ、ちょっと前の米大統領? そら、レーガンや!

老眼ネタは以前も一度書きましたけどねぇ、弱り目に祟り目、目がこんなところで祟るとわねぇ。

封を開けてなかったら、レシートがあれば返品できるんですが、レシート、さっき酔った勢いで破いて捨てたみたいです。

3千円分もらっても、靴下1足とCD1枚損したら、プラマイそないいうほど得しておらず。「徒労」の2文字がしっかり胸に焼きついた一日でした。ホンマ、悔し〜い!

人間は辛いこと悲しいことがあっても、時がたてばだんだんと心の痛手が薄らいでいくものだと、前ぇどっかのエライ学者さんが言わはってるのを聞いたことがあります。だから、いとしい人を亡くしても、その後、日々が過ぎていくとともに平生の生活に戻れるのだそうです。逆に、人を恨む気持ちというのは、時とともに増していくんだとか。おーこわっ!

恨みやねたみの心を捨てて、健全に生きていきましょうね〜。

それはこの場合、全然違うお話。どうも今回はいつもの号よりもよりいっそう、話が脱線島倉千代子ですわ。安くておいしいケーキ屋の話とか、火曜がお得なポイントカードの話とかね。でもね、これだけはわかってくださいね。今回の話って、要するに、CD買いに行って、靴下落として、持ってるCDまた買ったってそれだけですやん! それをこれだけ長ぁに長ぁに伸ばすという苦労。ただ者ではない!すげー! あのー、ヒンシュク買ってます?

まっ、ともかく、せこい心の傷も消えた数日後、思ったんですよね。オイラも道に落ちてる軍手になりたいって。

この頃はバリアフリーの設備も、まだ満足とはいえないまでも徐々に増えてきて、障害者も町に出やすくなってはきています。それでも、オイラ自身、まだそれほど頻繁には街中で車椅子を見かけません。近所の商店街とかではけっこう見るんですが、見ないところではほとんどまったくといっていいほど見ません。映画館なんか、もっと見かけてもいいと思うんですがね。それに、夜の盛り場なんか。(これは防犯のため、程ほどにした方がいいでしょうが)

世間一般では、まだ障害者は少数民族。存在をアピールするためにもっと障害者希少地帯に出没したいなぁ。「何でこいつ、こんなとこにおんねん」と周りのモンに思われたい。「何で?」が重なれば「何で?」は消えます。

でも、なんぼ道に落ちてる軍手のようにっていっても、踏んだり轢いたりしないでね。

*文中に出てくる安くておいしいケーキ屋さんに興味を持たれた、近辺にお住まいの方、お店の地図、お教えしてあげまひょか。