もう一人の障害者

落語会でときどき顔を合わす人にもう一人の障害者がいる。「もう一人」と書いたが、わたいは寄席通い歴7、8年で、この人は数十年なので、わたいの方が「もう一人の障害者」なのだろうけど。年はわたいがちょっと上だ。

便宜上、この人を「怪ボちゃん」と呼ぶ。目イボではない。目イボはうっとうしい。この人は・・・わたいの口からは言えない。

怪ボちゃんは空気が読めない。全く読めない。よく人の日記にコメントを書いては、ピントが外れていると、わたいやイカカップル2号こと本名あほおばはんに叱責されている。わたいのボケをさんざん壊滅させてくれる。「怪ボ」は「怪人ボケゴロシ」の略称だ。なぜ、わたいとあほおばはんしか注意しないのかというと、怪ボちゃんはほとんど、わたいとあほおばはんの日記にしかコメントを書かないからだ。

人見知りか・・・

でも、人見知りではない。誰彼となく、よく喋る。実際に会えばマシンガントークだ。

今日もH亭に来ていた。向こうも車椅子なので、お互い、車椅子席になる。隣にいる。

「頭がボーっとしてるわ。熱あるんちゃうかな」

ゲッ!この時節になんちゅうことを言い出すんだ、この人は。向こう向いといてくれ。

でも、ずっとこさこっちを向いて喋り続ける。

「選挙やったんちゃうの?」

あぁ、そやそや、神戸市長ね。わたいはいつも郵便で期日前投票してるから、そんなん忘れてる。でも、何であんたがそんなん覚えてるの? あんた、岸和田やで。なんや知らんけど、すこぶる興味がおありのようだ。

「僕、選挙好きやねん。必ず投票してる。してたら、お上に堂々と文句が言えるやろ」

なんぼでも言ってください。けど、今はこっちを向いてわたいに喋やんとってください。

「やっぱり鶴瓶さん、好きになれんわ」

あんたは好きにならんとってください。

「H亭のおねえさん、胸大きいやろ」

知らん知らん知らん知らん知らん。

「どこそこ(H亭ではなく、どっか他のとこを言ってるようだが聞こえなかった。聞く気もなかった)の子がなかなか可愛いて・・・」

ええ加減にしなさい。向こう向け。呼吸すな。どっか行け。発熱センター行け。

「僕のおるところは「予約席」の札、貼ってるやん。僕は動かん。そっちが行け」

わけわからん・・・

あまりにも理解し難い状況に直面して、その得も言われぬ空気に、ついぞやわたいは笑い転げてしまった。

辛い展開だ。突拍子のないけたたましい笑い声に、離れたところに座っている、わたいを知っている数名は振り向き、その他大勢の知らない人は見てはいけない物のように目をそらす。わたいは紛れもなき、痛いおっさんと化した。

なんで・・・

あほおばはんといい、怪ボちゃんといい、なして、わたいの周りにはこんな人たちがいるんだろうか。これは神が与え給うた修行か? 同じ修行なら、天使の○んこの白い部屋とどっちがいいだろうか?

あかん、思考が乱れてきた。

とりあえず、なんでもいいから、

助けて〜〜〜〜〜