らくだ

10日ほど前に観たんだけど、まだ日記に書いてなかったんで。

劇団民藝の舞台。タイトルが「らくだ」だから「らくだ」をモチーフにしているんだろうけど「粗忽長屋」の要素も多く見られる。「粗忽長屋」なんざ、確かに別役さんにピッタリの題材だと思う。落語で一、二を争う不条理な噺だから。

その他「寝床」や「河豚鍋」の断片も入っている。とはいえ、落語を戯曲化した舞台というのではもちろんなく、落語的空気をあまり感じなかった。完璧な別役ワールドだ。それでも、不条理劇ではあるが、難易度はそれほどでもない。死生観を超えた人間の営み? こんな安っぽい感想は下衆やわな。

終演後、ロビーで役者さんと観客の交流会。大滝秀治さんも出てきてくれた。84歳で新作の主演。やはり台詞を覚えるのに、だいぶ難儀したとおっしゃっていた。でも、そんなことを微塵も感じさせない、舞台上での圧倒的な存在感。いい劇を観た。