フリージャズとライブペインティング

tanich2010-02-04

(写真はボスさんの日記から承諾を得ての転載)

1週間前だけど、ライブに行ってきた。メンバーが凄い。林栄一さん、國仲勝男さん、小山彰太さんといえば、元・山下洋輔トリオの面々。このお三方の激しく、火の出るようなインプロビゼーションの洪水の横で、わたいのマイミク、菩須彦さんが絵を描く。

ボスさんのライブペインティングは、何年も前からいっぺん観にいくと言ってたんだけど、わたいの予定と重なったり、会場が地下だったりしたら階段だろうから、わざわざわたいが行きにくい会場のときに行かんでもええかと思ったりして、なかなか鑑賞する機会に恵まれず。この日は演奏にも触手が動くし、会場も1階だった。とはいえ、入り口に段差があったんだけどね、周りの皆さんにお手伝いしてもらった。

ちょっと早めに行くつもりだったんだけど、着いたら開場時間をちょっと過ぎていた。でも、ラッキー! 会場のセッティング上、前方から入場するようになっていて、一番前で観せて聴かせていただいた。かぶりつきだ。小さな会場だから、アーティストさんたちと1mも離れていない。

1曲目が始まると同時にペインティング開始。畳3畳ほどの紙に勢いよく筆が走る。迫力あるよ、ほんと。鬼気迫るといおうか。圧倒される。

龍神の絵を描かはることが多いそうだが、この日は梟だ。後日、あのビジュアル系あっけらかん小娘ヘルパーさんに絵の写真を見せたら、龍の顔だと言っていた。やはり小娘の目は甘い。それが証拠に、左下の顔を「仏壇の顔やね」と。仏壇て!? これには不覚にも笑い転げた。

演奏もやはり凄い。舞台で演じられる対象は何でもライブが一番なんだけど、フリージャズは特にそう思う。日常でない異空間で聴くと、気分が入り込めやすい。

この日の会場は古書店とカフェバーをミックスさせたブックカフェ。傍らをたくさんの稀少本が詰まった書棚が立ち並ぶ。人間が生み出した文化、知識のジャングル。そんなジャングルの、暗い夜の空間を、サックスが吠え、弦が唸り、ドラムが轟く。至近距離だから、腹に響くわ。

林さんと小山さんはチラッ、チラッとボスさんが描いてはる絵を見ている。セッションを実感させる。國仲さんは終始目を閉じて、腰かけた膝にギターを立てて、つま弾いている。まるで、琵琶法師のようだ。

演奏が終わると同時に、絵も描き終える。一秒も違わない。鮮やか過ぎる。魔法のようだ。1曲目、半時間での終焉。

休憩中、絵を奏者のバックに移動させる。貼りかえるのに、ボスさん、ガムテープが絵の角の隅っこの部分にかかっている。わたいらみたいな小心者は「あらっ」と思うんだけど、ボスさん、細かいことは気にしないのか。妙なところでも感心した。

後半は眼光鋭い梟に見つめられての演奏。ジャングルの夜は更けていく。