ゴー・ウエスト!

あらかじめ断っておくが「乳房を愛撫する手が、やがてウエストにむかい、徐々に下方へ下りていき・・・」というような官能小説風日記ではない。えっ、誰もそんなん思てない? しっつれいしました。
27日(日)は、また春待ちファミリーバンドを聴きに行った。会場は・・・わからん? 春待ちさんのスケジュールページに、駅から西に25分(25分といえばだいぶあるが、人工島でバスもないので歩きしかない)岸壁付近とある。いつもは、知らんとこに行くときはネットの地図サイトで念入りに調べてから行くんやが、今回はそれもできず。とにかく西に直進して、海にはまる寸前で我に帰って、そこらへんウロウロしてたら見つかるやろと安易に考える。25分歩きといっても、普段から電車一駅くらいやったら乗らんと行くわたいだから慣れている。車椅子だからしんどないし。
駅を下りて、近辺はまだ、マンションや団地があるのだが、ちょっと行くと、人が全く通らなくなる。周りはというと会社の事務所や工場、倉庫ばっかり。広い更地にフォークリフトがあったりする。そんなとこ、日曜、誰もおらんわな。歩道は手入れされてないので雑草がボーボー。舗装が横一文字にひび割れてて、そこからも生命力たくましく雑草が。進路を遮断する一列の雑草に独り言を呟く。「これは中山大障害か・・・」
西に向かおうとするのだが、道は曲がったり行き止まりだったりして思うようにならない。東に逆走したりも余儀なくされる。
はい、子供やったら、こんな心細い場面、泣きます。でも、わたいは大人だから泣きません。何年か前、もう一つの人工島での釣りに誘われたときに同じような経験をしてるから。ほな、未経験のそのときは泣いたんかえっ? はい! はいて!? おしっこも2滴ちびりました。だってぇ、道幅と同じくらいの長さのロープに繋がれた猛獣(小屋の入口には「ポチ」と書かれていたが、あれはポチというような生易しいものではない)が道端の小屋の前で寝てたんだもん。
春待ちさんの出演時間が迫っている。けど、わたいのいる西側にあるのは駐車場ではないようだけど、鉄柵に囲まれた延々と広〜い敷地内に車、車、車の波。消防車なんかも置いてある。ちょっと絶望的に西に行く道がわからない。海も見えない。ということで、諦めました。しゃーないです。
もう一つ予定していた美術館に行こうとちょっと南に動いたら、風に乗ってかすかに聞こえる歌声が。めっけ!です。あれはなんだろう。港湾局かなんかの、ここもまたメチャ広い敷地内の奥の方でやってました。間に合いし由良之助です。ちょうど春待ちさんの出番時間に到着。
この日のイベントは「スパチュウお絵かき大会*みなとのコンサート*クイズ大会」。子供向けのイベントだ。スパチュウとはスーパー中枢港湾プロジェクトの略だ。スーパー中枢港湾プロジェクトとは何かというと・・・、とにかくピカチュウのいとこではないようだ。
わたいが行ったのは1時半頃だが、午前中から子供たちが絵を書いてたらしい。どこに書いてたかというと、ほれ、あれ、それ・・・、この日は風がきつかったんですわ。司会のオネエサンのスカートなんかひるがえってねぇ。春待ちリーダーの社長が言うてはったところによると水色やったらしいですわ(これは事実かどうか定かではない)。そんなことはどうでもええんですが、風がきつくて、頭髪の薄いオジサンがえらいぼやいてましたわ。「こない風が吹いたら、残り少ない毛ぇが抜けて飛んでいってまうやないか。ホンマ、毛ぇ損や」毛ぇ損、あっ、そうそう、ケーソンケーソンケーソンという真っ白いコンクリート製巨大正立方体、一辺が4階建てのビルの高さくらいあるだろうか、その真っ白の四角い箱に子供たちが自由に絵を書いたのだ。しかし、こんな巨大な立方体のサイコロがあったら、さぞやダイナミックな賭場になるやろなぁ。まっ、サイコロ入れる壷があるかどうかやけど。
このケーソンは何をする物かというと、岸壁工事のとき、いくつも海に沈める物らしい。護岸のためなんかねぇ。司会のオネエサンが、子供たちが書いた絵が海の底でいつまでも魚に見られてると思うとホントに夢のあるイベントと言ってたが、絵の具は何で書いたんだろう。何で書いたんにしても、いつまでもてねぇ。海の底で海水にさらされます。そんなもん、すぐに消える・・・と挙手して発言しようと思ったが、そこはやっぱりわたいは大人です。風にひるがえっているスカートに免じて許してあげました。
春待ちさんのステージが始まる。社長が子供たちを舞台かぶりつきまで寄せる。子供向けイベントではいつものこと。顔の割れているわたいも、もっと前にと誘われる。おっさん、恥ずかしげもてらいもなく、かぶりつきとまではいかずとも、そこそこまでトコトコ前に出る。
1、2曲演奏したあと、社長がステージから降りて、振り付きナンバーのお遊戯の時間。子供たちを客席の方に向かせて一列に並ばせる。わたいもいっしょに。恥ずかしげもてらいもありません。「ぞうさんだぞー」と「ブランコ楽しいな」が春待ちさんの振り付きスタンダードナンバー。客席の大人もみんな立っていっしょに踊る。社長が踊ってない人のところに寄っていって、その人をいじる間(マ)も楽しい。会場、ホンマに一体化。その中に車椅子のもんがいるというのもええことでしょうね。昔チラッと見たセサミストリートで、路地で遊んでいる子供らの中に車椅子の子がいた。ごくごく自然な日常として。そんな番組、日本ではないでしょ。自然にいるというのがええと思う。たとえおっさんでも。恥ずかしげもてらいもなく。
社長は保育園や幼稚園を回って、演奏をしたり、空き瓶空き缶で楽器を作るのを教えたりもしている。笑うのと笑わせるのが第一の社長だから、心をストレートに表現する子供が好きなんだろう。社長ラブである。
さて、イベントが終わったら、次は美術館。美術館はさっき降りた駅の南へ一駅先。イベント会場からは南東へ歩いて40分くらいかな。しんどないから、そのくらいはトットトットコ行きます。
そこでわたいの悪い癖が。同じ道を行くのは面白くないので、違う道を。会場から東に戻って、路線に沿って南に行ったら簡単やったのに、まず南に向かう。方向音痴はこういう冒険をするべきではない。
もうそろそろ東に曲がろかと思て、東にちょっと行ったら道が階段になってる!? おてんとさんの下の天下の(重複表現?)往来が何で階段やねん! 誰もおらんかったんで「ワォ〜〜〜ン」と叫ぶ。しゃーないからちょっと戻ってまた南へ。どこぞに道あるやろ。
ところがなかった。しば〜らく進んで、やっと曲がる道があったので、タッタカタッタカ東に行ったら・・・、終点の駅に行き着いた。あぁ〜〜〜〜〜(赤いハンカチください) なんぼ車椅子だからといっても、疲れました。ぼやきながら路線に沿って美術館へと北へ。こうなリャ、意地でも終点の駅から電車乗ったらへんねん。
結局、この人工島の西半分を制覇したことになったのさ。えらいでしょ。
美術館へは「神戸ゆかりの芸術家たち」という展覧会を観に。わたいの高校のときの担任が美術の先生で、今は退職してご夫婦で絵を描いてはる。この展覧会には先生の絵は出品されてないが、旦那様の絵が2点展示されている。
51人の芸術家さんの絵が展示されていて、神戸の町並みや風景、神戸と直接関係のない人物画や抽象画なども鑑賞。描かれたのが何十年も前の風景画は「あぁ、懐かしいなぁ」とか思ったりもする。わたいが生まれる前に描かれた町の風景でも、そう思うのが面白い。
抽象画や絵本でも有名な元永定正さんの絵もあった。「へぇー、神戸にゆかりがあったんかー」全く勉強不足で知らなかった。
この展覧会は6月24日まで。神戸、六甲アイランドのファッション美術館1階「神戸ゆかりの美術館」で。