愛に乾き、剣が乾き、心も乾く

http://d.hatena.ne.jp/tanich/20070119
また新歌舞伎座に行ってきた。2度目の商業演劇系だ。松井誠特別公演。
いや、前回で次、行くつもりはなかったんだけど、出し物がねぇ「乾いて候」でしょ。「乾いて候」ちゅたら田村正和の十八番で、母親、田村正和が好きやいうても現代劇よりも時代劇がよく「眠狂四郎」「乾いて候」が底抜けにお気に入り。その「乾いて候」を、これまた好きな松井誠がやらはるんやからねぇ、これはまた代参せんわけにはいかんでしょ。特別出演の朝丘雪路はんも好きやったし。
今回はチケットを買うのが遅くなって、2階席しかなかった。車椅子で2階席のチケット持っていって、段取りどうなると劇場に聞いたら、別にどうもならん、問題なしということなので2階席購入。チケット買うたんは数日前ね。
当日行くと、2階席へは業務用だけどエレベーターがあるねんよ。前回は1階席だったから階段をえっさかほいさか上げてもらったけどね。1階が階段というのも変な話だけど、劇場の1階は建物全体では2階になるのよ。だから2階席へは3階ね。エレベーターに乗ったら、2階のボタンがなかった。だから前回は階段やったんや。
そやけど、これやったら母親、なおさら行かせたったらよかった。2階席やったら何の問題もなかったんやからなぁ。エレベーターあるか聞いたらよかったんや。後悔しても遅いけどなぁ。そのときは、あない早よに亡くなると思てなかったということもあるが。
「乾いて候」は、将軍吉宗のお毒味役、腕下主丞(かいなげもんど)が主人公。お毒味役で剣の達人。これが実は吉宗の落しだね。吉宗が将軍になる前に、毒味役の腕下家の娘に産ませた子。娘は捨てられたのだけれど、自分を捨てた男への愛か意地かで、吉宗を天下人にしようと画策。主丞にも、父を守るように言い残して亡くなるのだ。
母を思い慕う主丞の台詞。「自分を捨てた男が天下人になることを願う母は愚か。その心を継ぐ私も愚か」。母親の代わりにそれを観てるわたいも愚かやねんなぁ。