「許す」ということ

今日のは録画してるから、また後から見るとして。

先週の「風のガーデン」の貞三がいい。子の貞美の女癖が悪い。それで悩んでいた、貞美の嫁が事故で亡くなったときも、貞美は愛人と会っていた。激怒した貞三は貞美と親子の縁を切り、貞三の孫、即ち、貞美の子を引き取り、貞美と子を会わせないようにする。

十年ほどして、故郷の富良野を離れ、東京で暮らしていた貞美が富良野に帰っているという噂を耳にする。しかも、自分に隠れて子供に会っているようだ。

貞三は孫を問いただす。「お父さんと会っていますか?」と。口篭もり、返事を目で訴えようとする孫に「私は君たちをしっかり育ててきたつもりです。だから、答は口で喋りなさい」。こんなん、怒っとうと思うやん。「お父さんは今、どこにいるか知っていますか?」。怒鳴り込むのかと思いきや、それが違った。

貞三は孫に詫びた。自分の一存で孫と貞美との親子の縁を断ったことを。いつか自分が死んだ後、君たち親子が後ろめたくなく、気持ちよく会えるように、和解しに行くという。

これはね、もう号泣よ、号泣! わたいにこんなん見せたらあかんわさぁ。

倉本先生のドラマには、よく「許す」ことの大切さが出てくる。黒板五郎ちゃんも「俺は人の罪を許せないほど立派な人間じゃない」って言ってたなぁ。

5年前、小中高に渡ってのツレと喧嘩をした。絶縁状態だ。原因は、元はといえばこっちにある。まぁ、わたいからすれば、子供の頃からのわたいの恥部だから、もうわかっていることだろうし、何を今さら、そない怒らいでも、みたいな甘えはあったんだけどね。それが猛烈に怒ってきたんやね。

怒るといっても、単刀直入にストレートに怒ってきたんやったら、まだこっちにも謝りようもあったんやろけど、なんちゅうかね「お前は人間として駄目です。もう関わりは持ちません」みたいなことを言ってきたんで、取りつく島がないといおうか。ここで普通に謝ったら、自分に駄目人間の烙印を押すことになる気もしたし、とにかく、頭を冷やせと訴えるしかなかった。わたいは絶交する気なかったし。45のおっさん同士がしょーもないことでもめるのん、みっともないでしょ。

そしたら、わたいに対してキッツイ報復してきたんやな。そこまでされたら、わたいもいつまでもへーこらできんし、上等やないの、ということで、最後に謝りつつ絶交。

そのときはわたいも「子供だましみたいなことしやがって」と腹を立ててはいたが、そんなんは時が経てば薄れるもんで、あのとき、ツレが何で猛烈に怒ったか、ツレの精神状態を想像したら理解できるようにもなった。そやけど、こっちからは、もうコンタクト取らへんけどね。絶交してるんやし。そのうち、どないぞなるだろうと。

もう一人のツレは、毎年夏になるとわたいに電話をくれる。「会お」。この「会お」が、このツレのアイデンティティのようなもの。こないして電話してくれな、なかなか顔を合わす機会もないからね。この電話のお陰で、来れそうなもん4、5人に声をかけて、年1回の飲み会の場が持てる。

今年の夏の電話で、会おツレが面白いことを言った。ちょっと前、道で偶然、絶交ツレに会ったと言う。毎年飲み会をやってるが、お前も来るかと絶交ツレに言ったら「今、○○(わたいの名前)と喧嘩をしている。仲を取り持ってくれ」と会おツレに答えたそうだ。わたいは吹き出した。「取り持ってくれ」て、気弱やねぇ。

わたいはもう怒ってないので、ほな呼んだろかということになる。しかしねぇ、数人おる中でいきなり会うというのも腹割って話もできんやろし、お互い、わだかまりを持ったままというのも気色悪いでしょ。いちおう、これだけは注意しときたいということもあったしね。怒るんやったらストレートに怒れ、とかね。

しゃーないから、コンタクトを取った。30分前に来いと。アドレス帳にはもうなかったが、履歴を調べてメールした。

こっちからメールしたことを喜んでくれた。ほんで、全部自分が悪いと殊勝な返事。元はわたいに責があるんだけど。ちょっと戦々恐々としてるみたいやったから、わたいはもう怒ってないから安心せえと書いたら、次のメールでわたい、こけた。

画像添付してんねん。なんや思て見たら、フェルメール真珠の耳飾りの少女の絵ぇや。・・・・・何の意味があんねん。今度、東京行って、本物見てくんねんて。ほんで、メールの最後の署名が「うっちー」!? お前、学校おるとき、そんな呼ばれ方してないやろ。殊勝からいきなり「うっちー」て? くだけすぎやろ・・・

わたい、今は周りのみんなから「たにっち」と呼ばれとうけど、学校時代の同級生にメールで「たにっち」と書いたことない。なんや恥ずかしいやんか。照れるという心理わかるやろ。そんなん昔呼ばれてないのにねぇ。

もうちょっとデリカシーを持ちなさい。まっ、でもね、全部許します。フェルメールもうっちーも許します。天の災い、天災と思って目をつむります。おわかりかな?わからぬでしょうなぁ。