HACHI

くっさー、えげつなー、隙があったらかかってこんかいっ!

の、高校時代、ピンポンと通信教育で空手をやっていた八ちゃんのことではない。

監督が好きだから行ってきた。この映画、基本的に嫌いではない。確かに泣いたよ。普段、主人がボールを投げても取ってこようとしない、見向きもしないHACHIが、その日に限って自分からボールを持ちだしてきて、主人を仕事に行かせまいとボール遊びをせがむシーン。健気だ。

そやけどねー、健気なんだけどねー、帰り道、よく考えてみると・・・あれ、野良犬やん。主人が生きてるときは飼い犬だけど、いつもロープ付けてないしぃ。単独で街中、闊歩してるしぃ。お上からの指導はなかったのだろうか? スヌーピーみたいに直立歩行してたら、お上も異存はないと思うんだけど。・・・・・そうか?

主人が死んでからは完全に野良犬やん、ねぇ? ベッドリッジ駅付近に住みつく。餌は顔なじみのみんながくれるからいいけど・・・犬糞は? ほったらかしやん、なぁ? まずいんちゃうのん。

わたいが雨の日の外出時、最寄り駅まで通る道がある。モノレールの高架の下の歩道だ。完全ではないが、まぁまぁの雨除けにはなる。

この道は雨の日しか通らない。なんでかというと、犬糞が多いのだ。犬の散歩道になってるんでねぇ、マナーのなってない飼い主が多いのよ。けっこう落ちてるので、注意して注意しもって、犬糞の間を縫うようにして通る。スキーの回転競技のようだ。実際、電動車椅子の競技でそんなんがある。コースに立ててある旗を犬糞に換えてくれたら、わたいは競技に出てもいい。勝つ自信がある。旗ではダメだ。鬼気迫るスリルがないと、真剣になれない。

何の話やった?

そやから犬糞だ。HACHIの犬糞。HACHIの犬糞を、ラーメン屋の岡持を持った八ちゃんが自転車で踏んだら「くっさー、えげつなー」ということになる。

そういう映画を、わたいは撮りたい。