大秘宴會、2月27日のメモ

昨秋から始まった「JAPAN TOUR 2009-2010 WHITE」のテーマは、噺家の縦のつながり、横のつながりだ。別に師匠に伺ったわけではないが、わたいはそう思う。師匠が、バラエティに出てはるときも俳優をやってはるときも、いつも「噺家鶴瓶」でいられるのは、この「つながり」があるからだ。だから、この「WHITE」は過去、現在を含めて、師匠を取り巻く噺家さん方への感謝のツアーなんだ。

この日は、このツアー唯一の兄弟弟子がゲストの日だ。おのずと見えてくる図式が違う。例えば、志の輔師匠がゲストだとすると、まず、六代目と家元の関係がある。そして、それぞれの師弟の上下関係があり、鶴瓶師匠と志の輔師匠の関係がある。見事に四角形が浮かび上がる。もちろん、対角線の関係もあるが。

この日は四角形ではなく直線だ。頂点に六代目がいて、その下に松喬師匠、そして弟弟子の鶴瓶師匠。

鶴瓶師匠「青木先生」

師匠がこの噺を作って、真っ先に聞いてもらったのが、兄弟子の松喬師匠だ。だから、松喬師匠のアイデアもいくつか盛り込まれている。見台を教室の机に見立てて、両手で持ち上げ、ちょっとずつ前進する仕草も松喬師匠のアイデアだ。

「見台なんて使こていいんですか?」の問いに「そんなもん、高座にあるもん何でも使こたらええねん」と松喬師匠。松喬師匠の言葉はこれ以上ない心強いお墨付きだ。枠にとらわれない鶴瓶落語は、こういう言葉に支えられて成り立っている。

松喬師匠「百年目」

入門当時、播州なまりのあった松喬師匠は、六代目から徹底的に言葉を矯正させられた。そのおかげで、わたいは今、こんな名人芸の船場の世界を楽しめる。

中入り

松喬師匠「二人癖」

こういう軽い噺も、コクがあるのに軽妙に、ゆったり心地よく流れる。

鶴瓶師匠「転宅」

ひと月前の西宮での根多下ろしから、わたいが聴くのは2回目。その間、場数を踏んでこられているんだろう。間合いとかが絶妙になっている。

師匠演じる、みみずのお梅や「死神」のお秋のような、ちょっと気の強いおあねぇさんが大好きだ。

この日をきっかけに、定期的に両師匠の兄弟会が開かれるようにならないだろうか。そうなれば至上の喜びだ。昔、鶴瓶師匠が入門して「こいつはおもしろい。この男になら抜かれてもいい」と松喬師匠は思わはったそうだが、抜くとか抜かれるとかそういう範疇に入らない、最良の関係のご兄弟になってはると思う。

業務連絡。前の日記、笑うところがないので、無理やり下げを付け足しました。何で日記に落ちを欲しがるのか、自分でもよくわからない・・・