錦木検校

月曜、鶴瓶師匠の根多下ろし。この稽古会、発表が先週の金曜で、会が3日後。そう頻繁に会の開催予定をチェックしないわたいだから、友人に教えてもらわなかったら、会があったことを知らずに過ぎ去ってしまったことだろう。それに、予約電話もその時間、都合が悪く、自分で電話をかけられなかったので、また別のお方にかけてもらっている。人のふんどしで相撲を取らせてもらったおかげで、いい高座が聴けた。感謝感謝。

「錦木検校」は以前、一度聴いたことがある。終演後、一般ルートは階段なので、車椅子だから裏を通らせてもらってエレベーターへ。楽屋前で師匠に感想を聞かれ、志の輔師匠のんで聴いたことがありますが、それとはまた違った趣があって云々と。

アホか!大失態や!志の輔師匠のんやのぉて喬太郎師匠のんや。ということにあとから気づく。また、舞い上がってもて、口はばったいことも言っている。根多下ろしと思えない完成度の高さで・・・。あのね、わたいなどに何が完成形かわかるはずもなく。根多下ろしと思えないくらい余裕が感じられて、師匠ご自身が楽しんではることが伝わってきたと、こう申し上げたかったのです。ヤンタンメールにお詫びと訂正を入れさせてもらったが、読んでいただけただろうか。

師匠は六代目師匠から稽古をつけてもらっていない。他の師匠方にお願いしても「嫌や」と断られるばかり。これは六代目が他の師匠方に、稽古をつけやんといてくれと頼んでたからなんだけど、だから、今こうして自由に落語に取り組めるというようなことを枕で言うてはった。稽古をつけないという芸の継承の仕方もあるんやね。これは、師弟の究極の信頼があればこそできるんだと思う。

「錦木検校」は江戸落語の人情噺。侍が登場する人情噺は、わたいの知る限りでは上方にはない。江戸も上方もない。いいものはどんどん交わっていけばいい。で、交わらない高座もあっていい。いろいろある方が面白い。

侍やあんまの錦木を師匠ご自身の“可愛い”キャラクターで演じる。この可愛さがほのぼの感を生んで、クライマックスでより泣けるんだ。それと、師匠が新たなステージに進出しはった気がして、それが嬉しくて、そんな思いが相まって、当然わたいは泣いたとさ。

9月10月と師匠ご出演の大阪近辺での会は全制覇する予定なので、これから「錦木検校」がどう進化、深化するか、楽しみでならない。